畳の置き方には、「祝儀敷き」と「不祝儀敷き」という2通りの方法があります。祝儀敷きは、畳の四隅が一点に集まらないように工夫された配置で、現代の一般的な住宅で広く採用されています。
一方、不祝儀敷きは、四隅が一点に集まる配置となるのが特徴です。かつては行事に応じて畳を置き替える習慣があり、これらの置き方が生まれたとされています。
それぞれの置き方には、日本の伝統や文化が深くかかわっています。この記事では、畳の敷き方の基本や背景を詳しく解説します。
祝儀敷きの置き方
祝儀敷き(枕敷き)は、畳の四隅が一点に集まらないように工夫された置き方で、隣り合う畳のラインが十字形を作らないのが特徴です。畳を配置する際、一方向にそろえて並べると合わせ目が十字になるため、祝儀敷きでは畳の向きを変えて配置します。この方法は縁起が良いとされ、婚礼や祝い事などの特別な場面で長く用いられてきました。
祝儀敷きが定着したのは江戸時代以降とされ、日常生活の和室でも一般的に見られる置き方です。かつては、不祝儀敷きと呼ばれる形式に張り替える習慣もありましたが、現代ではその必要性がなくなり、祝儀敷きが標準的な敷き方として広く親しまれています。
不祝儀敷きの置き方
不祝儀敷きは、畳の合わせ目が十字になる配置を特徴とした置き方で、祝儀敷きとは異なり、縁起を気にせず実用性を重視した形式です。かつては葬儀などの厳粛な場で用いられることが多く、この名前がつけられました。現代の一般住宅ではほとんど見られませんが、寺院や旅館の大広間では不祝儀敷きが主流です。
旅館の大広間で不祝儀敷きが選ばれる理由として、畳を一方向にそろえて置くことで耐久性が向上し、多くの人が利用しても畳が傷みにくい点が挙げられます。また、不祝儀敷きは広い空間でも畳のメンテナンスがしやすく、効率的に管理ができることからも重宝されています。こうした実用性の高さが、不祝儀敷きが特定の場所で選ばれる理由となっています。
まとめ
畳の置き方には、「祝儀敷き」と「不祝儀敷き」という2つの形式があります。祝儀敷きは、縁起を重んじた配置が特徴で、現代の一般住宅や和室で広く採用されています。一方、不祝儀敷きは、耐久性やメンテナンス性を重視した置き方で、寺院や旅館のような実用性が求められる場所で活躍しています。
これらの置き方には、畳を使った生活の知恵や日本の伝統文化が深く反映されています。日々の暮らしのなかで畳を大切に使い続けるためには、こうした配置の違いを知ることが役立つでしょう。